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物流の「2026年問題」とは? ~ 荷主に求められる新たな物流効率化ルールについて ~

2026年4月からどうなる?
荷主に対する新たな物流管理

ドライバー不足や輸送効率の低下が深刻化し、このままでは物流網の維持が難しくなる――こうした課題を背景に、2026年4月から、荷主にも物流管理の役割が求められるようになります。

これまで運送会社に任せていた計画や効率化の取り組みを、自ら考え、実行していく時代です。
最初は負担に感じるかもしれませんが、荷待ち時間の削減や積載効率の向上は、コスト削減や納期の安定化につながります。

本コラムでは、国交省や経産省、NEDOが進めるデジタル化・効率化の仕組みを参考に、これまでの背景や今後の対応のポイントを解説していきます!
新しいルールは単なる義務ではなく、物流の質を高め、企業の競争力を伸ばすチャンスです。


目次

┃1.物流改革の背景と狙い

経済の循環と人々の暮らしを結ぶ物流ですが、現在日本では、トラックの運送力不足が問題視されています。

┃2024年度時点で14%のトラック運送能力不足
 ➡2030年度には34%不足に及ぶと予測されています

今後は、荷主・物流事業者・消費者が協力して効率化を進めることが重要になると考えられます。

┃2.改正物流効率化法(2025年度〜2026年度施行)

2025年度から:すべての荷主・物流事業者に対し、積載効率の向上、荷待ち時間・荷役時間の短縮といった努力義務が課されます。「物流効率化法」理解促進ポータルサイト経済産業省

2026年度から:扱う貨物量が年間9万トン以上など、一定規模以上の特定荷主には、中長期計画の作成・定期報告・物流統括管理者(CLO)の選任などが義務化されます。

┃3.物流統括管理者(CLO)の役割

2.改正物流効率化法で挙げたCLO(物流統括管理者)は、経営層から選任される物流戦略の責任者として、中長期計画の立案、部門間・企業間の調整、効率化施策(設備投資・デジタル化など)の推進、報告業務を担います。未選任の場合は罰則もあります。

┃4.先進的施策・デジタルインフラによる支援(経産省/NEDO)

国家戦略としての整備:自動運転やドローン物流、インフラのデジタルツイン化などを含む「デジタルライフライン全国総合整備計画」を策定し、全国展開を目指しています。経済産業省+1

実証実験から社会実装へ:無人自動運転サービスを2025年度にも50拠点で展開、歩行者混在地域への投入も検討中です。経済産業省

NEDOによる共同輸送・データ連携基盤の開発:自動運転トラックを使った共同輸送の実証や、安全・効率化を支えるデータ連携基盤の構築が進められています。

┃5.システム開発企業が果たすべき役割

2026年に向けた制度対応や物流分野でのデジタル化(DX)を進めるためには、物流企業、またシステム開発企業には現場業務を支える実用的なツールやシステム設計が求められます。
ここでは、特に重要と考えられる5つの分野と、それぞれに対応するソリューションの一例をご紹介します。

CLO支援システム

CLO(物流統括管理者)の業務を支援するダッシュボードとワークフロー。中長期計画の策定支援、進捗管理、報告書の自動生成機能を備えます。

  • 主な機能:テンプレ化された計画作成ウィザード、KPIトラッキング、定期報告書の自動化(PDF/Excel出力)、関係者へのアラート・承認ワークフロー。
  • 導入メリット:作業負荷を軽減し、法令対応の精度を高める。経営層への説明資料作成が容易になる。
  • 導入時のポイント:既存の業務フローや報告様式に合わせたカスタマイズ性を確保すること。

データ集約・分析基盤

複数の物流業者、社内部門、海外拠点などから来る輸送・荷役データを統合するデータレイク/データウェアハウス。分析・可視化の土台を提供します。

  • 主な機能:各種フォーマットの取り込み(EDI、CSV、API)、データクレンジング、時系列分析、異常検知、レポーティングAPI。
  • 導入メリット:データに基づく意思決定が可能になり、積載率や荷待ち時間といった指標の改善につながる。
  • 導入時のポイント:データ品質管理とマスターデータ(商品・拠点コード)の統一設計が重要。

連携プラットフォーム設計

自動運転車両、ドローン、運送会社のTMS、倉庫WMSなど多様なシステムと安全に連携するミドルウェア/APIゲートウェイ。

  • 主な機能:リアルタイム位置情報の集約、配送指示の発行・受領、テレマティクス連携、外部サービスとのOAuth連携。
  • 導入メリット:新しい輸送手段をシームレスに取り込み、共同配送やモーダルシフトを実現しやすくなる。
  • 導入時のポイント:各デバイス・サービスのインタフェース仕様が分散しているため、標準化レイヤーを設けること。

セキュリティ設計

データ共有時の認証・アクセス制御・通信保護・ログ監査を含むセキュリティ基盤。権限管理や匿名化機能も提供します。

  • 主な機能:ID管理(SAML/OAuth2対応)、ロールベースアクセス制御、データ暗号化、監査ログと侵入検知連携、契約ベースのデータ公開設定。
  • 導入メリット:外部企業とのデータ連携が安全に行え、コンプライアンスの担保につながる。
  • 導入時のポイント:業種間で共有されるデータに対して、最小権限と用途限定の設計を徹底する。

可視化用途UI

取り組み状況やKPIを直感的に示すダッシュボード、進捗グラフ、効率改善の効果が分かるUI。CLOや現場管理者がすぐに使える設計。

  • 主な機能:カスタムダッシュボード、ドリルダウン分析、レポート出力、モバイル対応のアラート表示。
  • 導入メリット:意思決定の速度が上がり、現場と経営の認識齟齬が減る。改善サイクルを高速化できる。
  • 導入時のポイント:ユーザーごとに見せる情報を最適化し、現場目線の操作性を重視する。

┃最後に

ここまで、物流分野における課題と、DXによって可能になる取り組みを整理してきました。
これらは、「法令への対応」と「業務の効率化」を同時に実現するための実務上のポイントです
私たちは、要件定義からシステム開発、導入支援、運用・保守まで、一貫したサポートを提供しています。
まずは現状の課題をお聞かせいただければ、最適なロードマップと実装プランをご提案いたします。



システムの導入をご検討中の方、詳細資料のご希望やご相談がございましたら、以下よりお気軽にご連絡ください。

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