物流の2024年問題が目前に迫る中、その「次の段階」として注目されているのが物流2026年問題です。特に2026年以降は、運送事業者だけでなく荷主企業にも直接的な対応が求められる時代へと移行します。本記事では、物流2026年問題の背景と、荷主企業が今から取るべき具体的なアクションについて解説します。
物流2026年問題とは何か
2024年問題の「延長線」にある構造問題
2024年問題は、働き方改革関連法によるトラックドライバーの時間外労働規制が発端でした。しかし2026年問題は、その影響が本格的に顕在化し、物流供給そのものが維持できなくなるリスクを指します。
輸送能力不足が常態化する時代へ
ドライバー不足・高齢化・労働時間制限が重なり、「繁忙期だけの問題」ではなく、平常時でも輸送能力が不足する状況が想定されています。
なぜ荷主企業が当事者になるのか
物流効率化法改正による荷主責任の明確化
国は物流効率化法の改正を通じて、荷主にも物流改善の責任を求める方向へ舵を切っています。これにより「運べない責任」を運送会社だけに押し付ける構造は見直されつつあります。
CLO(物流統括責任者)設置と中長期計画の重要性
一定規模以上の企業では、CLO(物流統括責任者)の設置や、物流効率化に関する中長期計画の策定が重要視されるようになります。
コスト増・供給リスクが経営課題に直結
物流が滞ることは、販売機会損失や取引停止に直結します。物流はもはや「間接部門」ではなく、経営リスクそのものです。
荷主企業に求められる具体的対応
出荷・納品条件の見直し
時間指定・小口多頻度配送・急な変更など、従来の商慣習を見直す必要があります。納品条件の柔軟化は、物流効率化の第一歩です。
物流コストの適正分担
持続可能な物流を維持するためには、適正な運賃・料金設定を受け入れる姿勢が求められます。
共同配送・モーダルシフトの検討
同業他社との共同配送や、鉄道・船舶を活用したモーダルシフトは、輸送能力不足への有効な対策です。
物流DXと国家プロジェクトの役割
物流DXによる全体最適化
倉庫DX、ラストワンマイルDX、幹線輸送の自動化を連携させることで、物流全体の効率化が可能になります。
自動運転・スマート物流国家プロジェクト
RoAD to the L4をはじめとした国家プロジェクトは、輸送能力不足を補う中長期的な解決策として期待されています。
データ連携が荷主の競争力を左右する
需要予測・在庫情報・配送データを連携させることで、物流は「コスト」から「競争力」へと変わります。
荷主企業が今から取るべきアクション
自社物流の棚卸しと可視化
まずは自社の出荷条件、物流コスト、配送リードタイムを整理し、課題を明確化することが重要です。
中長期の物流戦略策定
2026年以降を見据えた物流DXロードマップを策定し、段階的に改善を進める必要があります。
パートナー・自治体との連携
物流は単独企業では解決できません。運送事業者、システムベンダー、自治体との連携が成功の鍵となります。
まとめ
物流2026年問題は荷主企業の経営課題
「運べない時代」に備えることは、荷主企業自身の責任です。
早期対応が競争優位につながる
先手を打って物流DXや商慣習改革に取り組む企業ほど、将来の競争力を高められます。
まずは現状整理から始めよう
自社物流の現状を把握することが、2026年問題対策の第一歩です。